「フランチャイズを始めたいけど、開業資金にどれくらいの金額が必要なのだろう…」
「フランチャイズはとにかく開業資金の負担が大きいイメージがある…」
サラリーマンを脱し、フランチャイズのオーナーとして自ら店舗の経営に乗り出したいと考えている人は少なくないでしょう。しかし、そういった人がフランチャイズオーナーになる踏ん切りがつかない大きな理由が開業資金です。
そこで今回の記事では、
・フランチャイズに必要な開業資金の平均
・開業資金における自己負担金の割合
・開業資金の調達方法
・開業資金に関する代表的な失敗
について紹介します。開業資金について正しい理解を得ることはフランチャイズ経営の第一歩です。あなたが現在の状態でフランチャイズ経営を始めることができるか否かの参考にしてください。
開業資金の内訳
はじめに開業資金の平均と内訳についてみていきましょう。多くのオーナーが自己資金のみで開業をしているのではないことが理解できるはずです。
開業費用の平均
日本政策金融公庫の「2014年度新規開業実態調査」によると、2014年におけるフランチャイズ開業時の平均年齢は42.1歳で、性別は男性が84.0%となっています。そして、開業資金の平均値は1,287万円となっています。中には開業資金として2,000万円以上が必要となるフランチャイズもありますが、500万円以下のものもあります。
開業資金として必要となる代表的な費用は加盟金、保証金、物件取得費、採用・人件費です。中でも物件取得費は大きな割合を占めることが多くなります。特に店舗型のフランチャイズを経営する場合、立地が集客数に大きな影響を与えます。
地代が安い場所では人が来ないリスクがあるため、コンビニ、飲食店、クリーニング店といったフランチャイズは繁華街に店舗を建てることになる場合が多いです。また店舗を運営するのに十分な人数が集まるまでは採用活動を継続する必要があり、そういったものが積み重なり平均して1,287万円という費用が必要となるのです。
開業資金における自己資金の割合
次は開業資金における自己資金の割合をみていきましょう。日本政策金融公庫の「2014年度新規開業実態調査」によると、開業資金として用意される自己資金の平均額は350万円です。そして、自己資金をふまえた平均調達額は1,464万円となっています。
開業資金の平均額が1,287万円で、調達額の平均が1,464万円であることから、約150万円程度の余裕をもって開業に臨んでいることがわかります。自己資金350万円以外は以下の方法によって調達されています。
・配偶者、親、兄弟、親戚…100万円
・友人、知人など…45万円
・金融機関等からの借入…928万円
・その他…40万円
フランチャイズの開業にあたっては平均して1,000万円近くを金融機関からの借入でまかなっているようです。
開業資金の調達方法
ここまで説明してきたとおり、平均するとフランチャイズの開業のために用意する資金は1,464万円で、そのうちの自己資金は350万円です。つまり約1,100万円を他者から借りてフランチャイズを開業していることになります。
以下では資金調達の際の注意点についてみていきましょう。
親族・友人からの借金
フランチャイズを開業する場合、親族や知人から約150万円を借りることが多いようです。親族・知人からお金を借りる場合は、契約書の作成などをせずにお金の移動だけが起こる場合があります。しかし、これは後から思わぬトラブルとなる恐れがあります。
例えば、はじめは「10年後に返してくれればいいよ」と言っていた知人が、ある日急に「1か月後に100万円を返してくれ」と言ってくる場合があります。こういった問題はお金を借りる前にしっかりと契約書を作り、毎月の返済額を決めておくことで回避することができます。
親しい仲だからと契約書の作成を疎かにしてしまいがちですが、親しい仲であるからこそ余計な問題を生じさせないように契約書を作成しましょう。
金融機関からの借入れ
金融機関からの借入はシビアです。あなたがこれから経営していくフランチャイズの事業計画がしっかりと作成されていないと金融機関はお金を貸してくれません。そのため事業計画の作成については、フランチャイズ本部のアドバイスを得たうえで堅実なものを作成しましょう。
また金融機関は支払いの遅れについても非常に厳しい態度で臨んできます。友人らのように「今月は待ってほしい」が通用しません。そのため返済計画についても余裕を持ったものを作成してください。そして売り上げが安定し、利益が伸びてきたら前倒しで返済してしまえばよいのです。
助成金・補助金
フランチャイズの開業には助成金や補助金が出る場合があります。全国の省庁や都道府県庁、各独立行政法人などのホームページをチェックしてみてください。助成金と補助金は数千万円単位で出ることはほとんどありませんが、借入と違って原則として返済する必要がないため、開業時に利用しない手はありません。中には審査が必要なものもあるため、早い段階から準備をして申請しましょう。
業種によっては企業資金が0円で始められる
また企業や業種により開業資金が0円となるキャンペーンを行っているものもあります。こちらも事前に広く情報収集し、あなたの目指す経営ができる場合は検討しましょう。しかし、開業資金が0円であることだけを理由にフランチャイズ契約を締結する企業を選ぶのは避けるのが賢明です。やはりあなたが仕事をしたいと思える業種、あなたの目指す経営ができる企業と手を組むべきです。
開業資金に関係する4つの失敗例
以下では開業資金に関係する失敗例をみていきましょう。
初期投資にお金を使いすぎるパターン
開業資金に関する失敗としては、張り切って初期投資にお金を使いすぎるものがあります。いざ開業資金を超える金額を調達できると、欲が出てしまい「自分の店だからお洒落にしたい」「はじめから完璧な内装で臨みたい」「最新の機械を導入しよう」と考えてしまうのです。
しかし、開業資金と調達資金に差額があるように、開業当初は資金的な余裕を必ず持つべきです。実際に経営をスタートすると予想もできないようなトラブルに見舞われることも少なくありません。店舗の外観、内装といったものは売上に合わせて長期的な視野で整えていくくらいがちょうどよいのです。
また店舗自体の見栄えにお金を使うよりも、インターネットでの集荷に資金を投入した方が売り上げは早く安定します。はじめから欲を出さずに、売上に応じて少しずつ店舗をブラッシュアップしていこうという気持ちで開業に臨んでください。
立地条件が悪すぎるパターン
インターネットやテレビでよく目にする表現の一つに「隠れ家的なお店」というものがあります。フランチャイズで飲食店を経営したいと思っている人の中には、「隠れ家的なお店を持ちたい」と考えている人も多いでしょう。しかし、「隠れ家的なお店」というのは都合が良いだけの言葉であり、フランチャイズのお店には馴染みません。
そもそもフランチャイズの店舗は全国に同じものがあるため、隠れ家的なお店になりにくいのです。隠れ家的な店を目指して立地の悪いところに店舗を構えると、ただの「アクセスの悪い店舗」になる恐れがあります。フランチャイズの多くは低価格が集客に繋がっているので、アクセスの悪い場所は避けて、繁華街など集客が見込める場所に店舗を構えましょう。
売上予測が甘いパターン
フランチャイズを開業する場合は売上予測を行います。それによって金融機関に対する毎月の返済額などを決めていくのです。売上予測の際には、細かな地域特性を見落とさないように気を付けましょう。また本部のアドバイスを鵜呑みにすることで、いざ開業すると売上が予測を大きく下回るということもあります。
自信が開業する場所の周辺にチェーン店ではなくとも強力な地域密着店がないか、住宅街と駅の中間に店舗はあるが、近くに大きな川があり実質的なアクセスが悪くないか、そういった細かな点に注意して売上予測を立てましょう。オーナーになるのであれば、実際に開業する場所の周辺を歩き、同業他社をすべて見て回る必要もあるでしょう。
まとめ
今回はフランチャイズの開業資金について紹介しました。以下は今回の記事のポイントのおさらいです。
・開業資金の平均は1,287万円
・自己資金は350万円
・親族や友人から資金を借りる場合は契約書を作ろう
・金融機関への返済計画には余裕を持つ
・開業時にお金が余っても張り切って店舗を飾り付けない
・売上予測は地域特性を考慮して綿密に
フランチャイズの開業にはまとまったお金が必要となり、それらは経営しながら返済していかなければなりません。しかし、フランチャイズはオーナーの努力次第で売上を大きく変えることができるのが魅力です。欲をかかずに、コツコツと経営していくことができれば、開業資金を集める際の借入を返済することはそう難しくないでしょう。